IH調理器で健康被害と提訴

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 IH(電磁誘導加熱)調理器を使い続けて不整脈などの心疾患になったとして、神戸市内で喫茶店を営む夫婦が製造元の三洋電機を相手取り、約8900万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが5日、分かった。三洋電機は「ごく微量の電流が流れることは認めるが、健康被害が生じるような欠陥はない」として全面的に争っている。近年需要が増えているIH調理器の安全性をめぐり、双方の主張は真っ向から対立しており、司法判断が注目される。
 訴状によると、夫婦は平成16年4月、IH調理器を購入し、店で使用。17年2月、調理を担当していた夫(64)が心臓病にかかり、同年6月にはペースメーカーを装着した。妻(58)が調理を交代したところ、18年10月ごろから妻にも不整脈の症状が出始め、次第に悪化した。
 19年1月、IH調理器の影響を疑い、ガスコンロに変更すると、妻の不整脈は沈静化したという。
 徳島大が夫婦の依頼を受けてこのIH調理器を使って実験したところ、ステンレス製の調理器具には、周波数2万〜6万ヘルツの電流が流れ、一定の接触条件で人体にも流れることが判明。20年8月には三洋電機の担当者も実験に同席、電流の存在を確認した。
 徳島大の伊坂勝生名誉教授(電気工学)によると、IH調理器に乗せたステンレス製の鍋などに片手で触れるだけでは人体に電流はほとんど流れない。しかし、プラスチックなどで覆われていない鍋の取っ手を片手で握りながら、もう片方の手がトッププレート縁の金属部分やステンレス製の流し台に触れるなどした場合、手を通って人体に微小電流が流れるという。
 IH調理器からの電流について、伊坂名誉教授は一般の家庭用電源(周波数50〜60ヘルツ)の電流よりも刺激は小さいとしながらも、「人体への影響に関する研究データがほとんどない。心臓の弱い人や病気の人が毎日調理で使うことを考えると医学的検討が必要ではないか」と指摘する。
 一方、三洋電機は「高周波数の方が人体への影響は小さくなる。原告側の主張は根拠がない。製品は電気用品安全法に基づく技術基準を十分満たしている」と反論している。
 ■高まる需要、健康相談も
 IH調理器は火を使わない安全な調理器具として、高層マンションなどで需要が高まっている。日本電機工業会によると、卓上電磁調理器とIHクッキングヒーターの出荷台数は年々増え続け、昨年は計約131万台にのぼった。
 IH調理器の安全性については、独立行政法人製品評価技術基盤機構」が平成20年ごろ、体内を流れる電流値について実験。接触電流に関する国際的なガイドラインよりも電流値は低いとの数値を公表したが、安全か否かとの評価は見送った。電気や磁気の安全性に関する情報提供を行っている電磁界情報センターは「体内に電気が流れることは原理的には考えられるが、健康被害との因果関係は証明しがたいのではないか」としている。
 ただ、国民生活センターにはIH調理器による健康被害の相談が複数寄せられており、「長く使うと胸が苦しくなったり心臓がどきどきしたりする」「使用したら体調不良になり、医師の診断も受けたが、メーカーが認めず不満だ」といった内容という。

 

便利なものほど、こういった危険性もあるものですね。

これだけはっきりと出ているようだと、プラスチックに覆われていないIH製品は怖くて使えません。