農業融資に動く金融機関

引用

 ゆったりと流れる利根川の堤防脇に、5つの大型ビニールハウスが並ぶ。ベビーリーフとして出荷するレタスやルッコラ、水菜などの幼葉が栽培されている。埼玉県羽生市で、昨年4月に生産を開始した農業生産法人「彩の葉グリーンサービス」の農場だ。
 ハウス内には、農場長の遠藤登志之さん(41)と真剣に話し込む、スーツ姿の銀行員の姿があった。埼玉りそな銀行の農業関連ビジネスチームリーダー、真鍋伸次さんだ。農業参入から1年。大手ピザチェーンへの野菜の定期納入が決まり、遠藤さんが報告すると、「他に何か協力できることは」「新しい取引先を紹介してもらいたいですね」と話が進んだ。
 「農家」から一歩踏み出し、下流の加工や流通を取り込んだビジネスをめざす農業経営者が増えている。新たな担い手を支援する農地法改正も進み、企業や個人のチャンスは大きく拡大する。こうした動きに、金融機関も、新たな融資先として農業分野に照準を合わせ始めた。
   ■      ■
 今年に入り、東京三菱UFJ銀行やみずほ銀行などメガバンクが、農業生産者と食品メーカー、流通業者を仲介支援してマッチングさせる大型商談会を相次いで開いた。いずれも、1000人近くが参加する盛況ぶり。会場は、直販先を開拓しようと野菜や加工品を持参して売り込む生産者や外食、食品、流通の担当者でにぎわい、農業ビジネスへの関心の高さを見せつけた。
 都市部中心に営業展開するメガバンクに対し、地方銀行も当然、黙ってはいない。乳製品や洋菓子、総菜などの出荷額で全国1位、野菜の生産額でも全国7位の規模を誇る埼玉県。千葉県と並び、首都圏の台所といわれる同県を営業エリアにする埼玉りそなは、今年2月に埼玉県と共同で商談会を開いた。
 食の安全志向を受けて、外食産業などでは、「国産食材を活用しないと客が呼び込めない」(大手レストランチェーン)と危機感を持つ。商談会にも、レストランチェーンや食品メーカーの担当者らが多く集まり、参加者は2700人に膨れ上がった。
 大手ピザチェーンとのマッチングに成功した彩の葉グリーンサービスは、次々と新たな納入先の開拓を進めている。川越市周辺の特産サツマイモを使った芋焼酎を製品化し、県内の居酒屋チェーンで販売する「地産地消」プロジェクトも、商談会を機に広がりを見せている。
 商談会の仕掛け役である埼玉りそなの真鍋さんは「埼玉県は需要、供給ともに大きいのに、これまで生産と消費がほとんど連携してこなかった。商談会で潜在的なニーズを掘り起こしたい」と意気込む。
   ■      ■
 こうしたマッチングビジネスは、融資拡大だけでなく地域経済の活性化に貢献し、地銀にとっては、地域のリテール(個人向け)バンクの存在感を示す長期戦略につながる。
 「地域産業といえばまず農業や畜産」。鹿児島銀行のアグリクラスター推進室長、諏訪田敏郎さんは、養豚業者に対し、牛や豚を担保に資金を貸し出す動産担保融資(ABL)の先駆者だ。鹿児島県は黒豚の一大産地で、いち早く土地担保主義から脱却し、事業の将来性にかける新手法を取り入れた。
 総額100億円を融資し、首都圏への積極展開で鹿児島産黒豚を全国ブランドに成長させ、生産量を増やす好循環につなげた。他行の追随を許さないリスク管理手法が強みだ。
 国内初の農業ファンド「えひめガイヤファンド」を立ち上げたのは、愛媛銀行だ。生産と、流通、販売などの関連産業が対象で、成長性のあるビジネスモデルを選んで支援する。「国頼みでなく、自分たちの力で農業を再生して愛媛を元気づける」(中山紘治郎頭取)のが狙いで、平成19年年2月の創設以降、ミカン農家やワサビの生産加工法人など14件の投資をこなした。
 世界不況で、主要製造業が総崩れになり、農業ビジネスへの資金シフトは強まりそうだ。こうした流れが、日本の農業の競争力強化につながると期待される。

 

銀行は金を貸さないと成り立たないですからね。

貸し渋りとか金持ちばかりの優遇融資とか小汚いことばかりしていないで、ちゃんと地域の人に役立つ活動をしていってほしいです。

もっと果たせる役割はあると思いますよ。

公的資金の注入を受けてばかりですから、もっと公的役割をはたすべきだと思います。

ただ貸すのではなく、貸して育てる発想も大事ですよね。