グーグルの書籍デジタル化、著作権巡り国際的波紋

引用

 米グーグル社の書籍デジタル化事業を巡り、同社が米国の作家らと和解した問題が、各国の作家や出版社に波紋を広げている。
 著作権を巡る国際的混迷は、デジタル化時代に書籍の著作権をどう守り活用するかという難問も突きつけている。
 ◆日本では作家ら賛否両論◆
 「アメリカの和解が日本の権利者を巻き込むなんて、とんでもない!」−−。4月24日、東京の日本ペンクラブに、作家や出版社の著作権担当者らが集まり、異例の意見交換会が開かれた。
 グーグルと米国の作家らとの和解が世界の書籍に影響するとの通知がなされ、グーグルのデータベース化を前提とした和解に参加するか否かの決断を日本の著作権者も迫られたからだ。参加者からはグーグルへの反発と、突然の事態に困惑する意見とが相次いだ。
 データベース化の対象作品は、把握分だけで新潮社で約1万2700点、集英社は約1万5000点。既に「日本ビジュアル著作権協会」の著作権者らが和解拒否を表明し、日本文芸家協会日本ペンクラブも4月に「日本の著作権者と出版各社を大混乱に巻き込んだ」(文芸家協会)とする抗議声明を発表した。
 ただ、著者や出版社の大勢は、反発しながらも和解へ参加する方針だ。日本文芸家協会は「最低限の防衛策」として、和解に応じた上で個々のデータの削除を求めることを勧めている。三田誠広副理事長は「個別にグーグルへの訴訟を起こすのは、時間と労力がかかり、損害額の算定も難しい」と説明する。
 一方で和解を肯定的にとらえる著作権者もいる。作家の佐々木譲さんは「ネット上で作品が公開されれば、本に触れる機会が広がり、新たな読者を作り出す」と期待する。
 ◆仏独は反発・抗議◆
 フランス作家協会は「著作権の原則に対する侵害」と反発する。著作権は、「人権」と同様、申告しなくても自動的に発生するとする欧州流の考え方が根底にある。
 ドイツ作家協会も「欧州の概念と相いれない」との抗議声明を発表した。出版社も認識は同じだ。スイスで出版社を営むベルナール・カンピシさん(56)は「米国人たちが勝手に決めた。著作権の聖域が侵された」と憤りを隠さない。
 一方、英語圏の英国とアイルランドでは肯定的な見方が強い。両国の作品は多くが米国内でも流通し、今後グーグルから獲得できる著作権収入は小さくない。英作家協会、英出版社協会ともに、和解に歓迎の意を表明した。
 欧州全域の作家団体を束ねる欧州作家会議(本部ブリュッセル)のミリアム・ディオカレツ事務局長は、和解について「倫理と利潤の二つの側面がある」と指摘する。著作権の原理原則に基づく倫理を取るか、グーグルの手を借りて利潤追求を優先するかという難しい選択だ。
 ◆米の出版社などは歓迎◆
 和解には全米出版社協会や全米作家組合も歓迎の意向を示しているが、「絶版書籍販売に関してグーグルによる事実上の独占になる懸念がある」との法律専門家の見解も伝えられている。
 和解の意義についてグーグルが強調するのは、絶版などで入手困難な書籍の「救出」だ。書籍のデータベース化により、読者は図書館でしか読むことのできない書籍を容易に探し購読できる。著作権者も新たな販路の登場で、印税収入の道が再び開かれる。グーグルの書籍検索システムの責任者のひとりトム・ターベイ氏は、「20世紀に発刊された書籍のほとんどが、もはや収入に結びつかないと出版社から見捨てられていた」と指摘している。

確かに、絶版された書籍は何とか復活してほしいですね。

手に入らなくて悔しい思いをしたことも何度かありますし…。

でも、アメリカで和解したから世界中OKという発想は、まさに俺様的=アメリカ的すぎて納得できません。

もう少し他にやり方がなかったんでしょうか。

たぶん他の国が同じことをアメリカに対してやっていたら、絶対に反対していたと思うんですよね(苦笑)