楽観論に慎重姿勢

引用

 日銀は16日の金融政策決定会合で、景気判断を「下げ止まりつつある」に変更し、従来の「悪化を続けている」から2カ月連続で上方修正した。在庫調整の進展などに伴い、輸出と生産の改善がより進んだためだ。だが、雇用・所得情勢は依然不安を抱えたままで、会見した日銀の白川方明総裁は「(消費などの)最終需要を慎重に見ている」と述べ、景気が底を打ったとの判断は示さなかった。
 日銀は5月の決定会合で「輸出・生産が下げ止まり」と判断したが、今回はさらに一歩進め、「輸出・生産は持ち直しに転じつつある」に改めた。5月の決定会合後に発表された4月の鉱工業生産指数や輸出が前月に続いて改善したからだ。
 また、米ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻(はたん)も市場に大きな混乱を及ぼさず、日経平均株価は先週末、終値で1万円台を回復した。こうした状況を踏まえ、白川総裁は上方修正の要因を(1)在庫調整の進展(2)(市場の)極端な不安の後退(3)積極的な金融・財政政策の効果−−と説明した。
 ただ、白川総裁はこれらの要因について「自律的回復を保証するものではない」とも指摘し、楽観論とは距離を置く姿勢を鮮明にした。輸出・生産の持ち直しは「昨秋以降の急速な悪化の反動」(アナリスト)との見方が強く、大幅減産のあおりで低迷した雇用・所得の好転につながる道筋が見えないからだ。
 4月の失業率は5年5カ月ぶりに5%を突破しており、夏のボーナスは大幅な落ち込みが必至。日銀も今回の景気判断で「雇用・所得環境が厳しさを増す中、民間需要は弱まっている」と指摘した。先行きも「最終需要の動向に大きく依存する」との見通しを示し、白川総裁は消費や設備投資の動向を見極めない限り、「景気底打ち」は判断できないとの考えを強調した。
 一方、企業の資金繰りなどの金融環境について、日銀は「改善の動きが見られる」としつつも、「なお厳しい」との判断を維持した。日銀の社債・CP(コマーシャルペーパー)買い取りなどの資金繰り支援策は9月末に期限を迎え、日銀は市場の動向を踏まえて打ち切りや縮小の是非を判断する方針だが、景気や金融システムの回復の度合いに左右されそうだ。

 

少しずつ判断がよくなっていっていますね。

このまま回復するのか、もう1度どこかで落ち込むのか…

解雇などで苦しむ人たちのためにも、できればそのまま回復してほしいものです。