日航・全日空、「シニア割」

引用

 日本航空全日本空輸が、今月から導入したシニア層を対象にした大幅な割引運賃が人気を呼んでいる。収益を確保するため、最大8割引という大盤振る舞いで搭乗率を引き上げる狙いが当たった。ただ、主要顧客であるビジネス需要の回復は依然として難しい状況の中で、時間と資金に余裕のあるシニア層が“最後の頼み”という側面もありそうだ。
 日航は今月、65歳以上限定の割引運賃「シルバー割引」を拡充し、石垣線と宮古線を除く国内線全線で、一律1万2000円まで引き下げた。従来は25%の割引だったが、今回の割引は通常5万1100円の新千歳−福岡間の場合、値下げ幅は77%に及ぶ。前日までの事前予約が可能で、発売から1週間の予約数は従来のシルバー割引に比べて3倍に跳ね上がったという。
 日航では「景気悪化によって旅行を手控えていたシニア層が、大幅な割引で動き出した。予約によって席が確保されている安心感も重要」と話す。
 これに対し、全日空も今月から65歳以上を対象に、国内全路線で一律9000円になる割引運賃「シニア空割(そらわり)」を導入した。割引率は最大82%と日航を上回る。搭乗当日に空席がある便が対象のため事前予約はできないが、全日空では「昨年10〜12月の国内線のうち、9割以上の便に空席があった」と説明。シニア空割の導入後は利用条件となる会員組織への登録が増加しており、「新規顧客の開拓につながっている」としている。
 大幅な割引を導入した背景には、ビジネス需要の減少による搭乗率の低迷がある。日航全日空の国内線搭乗率は昨年12月以降、採算ラインとされる60〜70%を割り込んで推移。両社とも2007年度の平均搭乗率は63%程度だったため、路線によっては赤字となっているもようだ。
 このため、比較的時間に余裕があるシニア層に限定した需要喚起策で、空席の多い平日便などの運航効率の向上につなげたい考えだ。ただ、企業の出張抑制によってビジネス需要の回復は当面難しい状況で、「旅行資金と時間に余裕のあるシニア層に頼らざるを得ない」(業界関係者)というのが実情。大和総研シニアアナリストの一柳創(ひとつやなぎ・はじめ)氏は「運賃全体を下げるのではなく、シニア層に限定した割引で収入減を最小限にとどめている」と分析。航空会社の苦しさが表れているようだ。

思い切った割引率ですね。

引退してお金のある人たちには嬉しい限りだと思います。

でも、引退して年金も少なく、その日その日で精一杯の人たちは…

何だか皮肉ですよね。