ビール2社 統合への壁は社風

引用

 国際競争に勝ち残ることができる企業を目指してキリンホールディングス(HD)とサントリーHDが経営統合交渉に入っていることが表面化したが、統合成立までにはいくつかの難関が控えている。統合後にビールや飲料などの国内シェアが大きくなることで規制当局の審査をクリアする必要があるのもその一つだが、最大のハードルは上場企業と非上場の同族企業という経営形態と社風の違いをどう乗り越えるかだ。統合への課題を検証した。
 08年12月期の連結売上高はキリンHDが2兆3035億円、サントリーHDが1兆5129億円で、キリンの規模はサントリーの1.5倍。ただ、サントリーの佐治信忠社長は周囲に「(収益力やブランド力といった総合的な)内容では同等だと思う」と話しているといい、今後本格化する統合協議では、サントリーは「対等合併」を主張するとみられる。
 その場合、問題になるのが、サントリーが非上場会社であることだ。サントリー株の約9割は、創業一族の鳥井家と佐治家の資産管理会社である寿不動産(本社・大阪市)が保有している。同社の社長はサントリーの佐治社長だ。
 仮に寿不動産が統合までサントリー株を保有したままキリンと完全な対等合併をした場合、サントリー創業家は新会社株式の4割以上を持つ筆頭株主になる。3分の1以上の株式を握れば重要議案に拒否権が発動できるため、キリン側がこの条件をのむ可能性は極めて低いとみられる。
 キリンはもともと三菱グループの主力企業の一つ。80年代後半にアサヒビールの攻勢を受けるまでは長くビール業界の王座の地位にあり、かつて社風は「インテリが多く保守的」と評された。
 これに対してサントリーは、創業者・鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」に代表される積極的で自由な社風が持ち味だ。
 ただ、キリンは02年以降、海外での積極的なM&A(企業の合併・買収)を仕掛けるなど、積極的に外に打って出る社風へと変わりつつある。一方のサントリー側も、統合前に創業家が株式の一部を放出する可能性が高い。株式の放出先によっては、2社の統合がさらに大きな「大連合」につながることも予想される。
 ◇寡占懸念の声は少なく
 両社が統合すれば、ビールや清涼飲料の分野で寡占が進むという問題もある。統合すれば、ビールの国内シェアは5割、清涼飲料では3割超と圧倒的なシェアを持つようになる。公正な競争が阻害される可能性があるため、公正取引委員会は両社の統合計画を審査することになる。
 両社は独占禁止法上の問題点について月内にも公正取引委員会に審査を申し入れる予定だ。公取委の松山隆英事務総長は15日の会見で、「慎重かつ詳細な審査が必要になる」と述べている。
 ただ、産業界や金融界では「国際的な競争力が問われている時に、国内のシェアだけに注目する発想は政府にもない」(メガバンク首脳)という見方が大勢を占めている。
 また、両社の統合でビール業界の力が強くなり、価格決定の主導権が再び小売業界からビール業界に戻るとの見方についても、流通大手イオンの岡田元也社長は「品質が良くなった低価格の輸入ビールも増えている」と指摘。統合で大きな問題が生じるとの意見はあまり見られない。
 ◇強みと弱み補完 商品群再構築、課題に
 両社は80年代以降、事業の多角化を進めてきたが、キリンが横浜のビール醸造所を起源としているのに対し、サントリーは、ウイスキーやワインなどの洋酒からスタートしており、強みと弱みを補完できる面がある。
 国内のビール系飲料の出荷量はピークの94年から08年にかけ15%減少した。キリンは98〜00年に4工場を閉鎖し国内11工場体制。サントリーは03年に新工場を建設して4工場を持ち、08年の出荷量も94年比で75%増となった。北関東は、キリンは栃木と茨城、サントリーが群馬に工場があり、集約される可能性もある。
 清涼飲料は、缶コーヒーではキリンの「FIRE」、サントリーの「BOSS」、緑茶では「生茶」と「伊右衛門」など、両社がヒット商品を持つ。商品群をどう再構成するかも課題になる。

 

社風があまりにも違うと、けっこうもめそうな感じはしますね。

派閥とかできたり…

はたしてどうなるんでしょうか。